漁業資料室のお宝 ロラン受信機
小中野小学校漁業資料室のお宝を紹介します。
「ロラン受信機」
ロラン(LORAN)は、Long Rang Navigation の略で、アメリカが開発した長距離航行援助方式のことをいいます。ロランは双曲線航法方式として知られ、2つの互いに同期して送信している送信局からの電波の伝搬時間の差を測定して、2局を焦点とする双曲線(地球上では球曲双曲線)を位置の線として求めるもので、船の位置を決定するためには、2組の組局についての測定を繰り返し、2本の「双曲位置の線」を求めるものです。ロランには、ロランAシステムと、その後開発されたロランCシステムとがあります。位置決定の精度はロランCの方が上です。最近はロランA/C受信機といって、ロランAにもロランCにも使える受信機が多く見られるようになりました。どちらも民間用として利用されていますが、ロランCシステムは軍事用として開発されたので、若干の制約があります。この種の受信機を2台備えておけば、常にロラン受信機を操作する必要はありません。船によっては2台以上装備しているのも珍しくありません。日本では、漁船など約3万隻が利用しています。最近では衛星で位置を割り出すサテライトナビゲーションが普及するようになり、アメリカは海外のロラン局の廃止を決定しました。日本には北海道の十勝太、沖縄の慶佐次、東京の南鳥島と硫黄島に送信局があります。現在、硫黄島局の移転の問題があり、移転すると電波の受信状況が変化するため、これまで使っていたロランC受信機が改造をしないと使えなくなります。改造は一台あたり数万円かかるとされ、これを期にサテライトナビゲーションに切り替える船が増えると予想されています。