八戸市立美保野中学校

校長先生のお話

9月11日(火)昨日咲いた朝顔は~校長先生のお話~

今日の生徒朝会、図書紹介のあとは校長先生のお話でした。

《校長先生のお話》

今日はある俳優さんについてお話しします。
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もうなくなった方ですが、森繁久彌(もりしげひさや)さんという俳優さんです。

ホームドラマなどによく出ていた方です。

「屋根の上のバイオリン弾き」というミュージカルの主役「テヴィエ」として

900回という上演の記録を持っています。


「昨日の朝顔は、今日は咲かない。」

森繁さんが好きな言葉です。

昨日の花は昨日だけ、今日は別の花が咲く。


森繁さんはこの言葉を引いて

自分のことを振り返っています。

「屋根の上のバイオリン弾き」のテヴィエ役を900回やって

一回もこれが最高というものはなかったそうです。

「今日はここがよかった」というように

一回ごとによさが分かり、反省する点がある。


朝顔に自分のことを重ねているんですね。

同じように見えて、毎日違う。


あるインタビューでのお話を紹介します。

(「あと10年生きられたら、自分でこんなことをしたい。」

という思いもあったでしょうが、

すでにお年だったので、それはちょっと難しいという状況で)

次の世代に伝えたいこととして

「もう少し、何かにのめり込むということがあっていい。」

「『何か一つやりきる』ということを次世代に言っておきたい。」

とおっしゃっていました。
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A君のギター、S君の自給自足、Y君の読書。

一生の楽しみとして大事に続けていく。

そういうことが、人生を豊かにしていく。

昨日の朝顔は、今日は咲かない。

けれども、今日は今日の朝顔が咲く。

毎日、新鮮な気持ちで生活していきたいですね。


先週の金曜日、小学校でワックスがけをやりました。

小学校の陸上競技会もあって、

机の出し入れをするにも、人手が足りなかった。

そうしたら、「何か手伝うことはありませんか?」

と中学生が声をかけてくれて、最後までやってくれた。

大変喜ばれて、職員朝会で紹介されました。


今できることを全力でやっていくという気持ちが本物だなと感じました。

とても嬉しいことです。

2012/09/12 16:50 | この記事のURL校長先生のお話 生徒朝会

9月4日(火)全校朝会~美保野中閉校とこけし~

今朝の全校朝会で、美保野中閉校について

校長先生から児童・生徒のみんなにお話がありました。


《校長先生のお話》


今日は、大切な2つのお話をします。


まず、1つ目。

家でお話を聞いている人もいると思いますが、

今年で美保野中学校は閉校になります。
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理由は、簡単に言うと2つです。

1つは、来年度生徒がいなくなるということ。

もう1つは、もっと大きな学校で、たくさんの友だちをつくりながら、

たくさん勉強し合うことが必要だということ。


これまで、美保野の地域の方々、先生方、市役所の人たちで

いろいろと話し合ってきましたが、

あまりにも人数が少ないということで決まりました。


中3の3人は最後の卒業生となります。

プレッシャーもあるかもしれませんが、最後のがんばりを期待します。


5年生は東中学校へ行くことになります。


通学方法、通学時間、部活動など

いろいろなことを考えて決めることになると思います。


東中学校は1学年が3~4学級の学校です。

東運動公園のそばにあるので近くを通ったことがある人もいると思います。


新しい環境になります。

大きな海に泳いでいって、しっかり成長してほしいと思います。

「僕は行けない……。」

そんな弱虫ではいけません。


4年生も3年生もみんなが中学校に上がるときには

美保野に中学校はないのです。


「よし、やってやるぞ!」という強い気持ちで行ってください。
 

2つ目。

(長テーブルの上のこけしを示し)

「ここにあるのは?」
 
(児童「こけし」)

「何に見えますか?」

(児童「こけし……」  ○○先生「子泣き爺」(笑) )


こちらの大きいこけしは椹(さわら)という木でできています。

ここに木の芯があります。
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この中ぐらいのこけしはアカシアという木でできています。


このちっちゃいのには「芯(しん)」と書いていますね。


芯があるものと言えば何でしょう?

(児童「鉛筆」)

鉛筆に芯がないとどうでしょう。ただの棒ですね。


人間には芯がありますか?


○○君に聞きます。君には骨はありますか?(○○君「はい。」)

骨がないとどうなる?

骨がないとぐにゃぐにゃですね。


このこけしは平川市にお住まいの葛西喜美男さんがくださったものです。


葛西さんは以前は大工さんをしていて、

東京で大きな建物(都庁、羽田空港など)の建設に携わっていました。

今は60歳を過ぎて、お仕事を終えて、

子どもたちの役に立てないかと考えられ、

ご自身が仕事で使ってきた材木などを磨いて

(工作の材料等として)中弘南地区のおよそ50校に配られました。

最近は、西海岸の深浦や八戸にまで範囲を広げてその活動をされています。


去年、体をこわして入院され、

その活動ができなくて困ったなあと思っていたところ、

病院でこけしを見かけ、こけしを作って贈ろうと思いついたそうです。


こけしを作るときは、筒状の木の中心をろくろに据えて削るのですが、

売っているこけしには芯のないものも多いようです。


けれども、葛西さんはこう考えました。

「子どもたちには芯のある人になってほしい。

 私は芯のあるこけしを作ろう。」

そう決めて、鉈(なた)や鑿(のみ)を使って、

全部手作りで一か月以上かけて作って、美保野に届けてくださいました。

なぜか。

それは今、美保野中学校がなくなる。

生徒を元気づけなきゃと考えたからだそうです。

「私はこけし屋ではないから、上手ではないが。

 顔は自分で描いてくれたら(うれしい)。

 自分がこれから生きていくのに、何回転んでも、

 すぐ、立ち上がって、なんくるないさ、何とかなるさという気持ちで

 生きていってほしい。」

とおっしゃっていました。

それでは、こけしをみなさんに配ります。
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美保野中学校閉校という決定は

子どもたちに

自分たちはどうなるのだろうという先行きの不安や

母校がなくなるという寂しさをもたらしています。


しかし、校長先生のお話にあった

「大きな海に泳いでいって、しっかり成長してほしい。」

ということは、美保野小・中教職員全員の願いだと思います。


友だちが増える、

多くの人と接して学ぶ機会が得られる

いろいろな部活動の選択肢が持てるなど

プラスの面に目を向け、

現実に立ち向かってゆく勇気や前向きな気持ち、

置かれた状況を一つの糧として成長していくための強い心を

子どもたちに育んでいくことが、今必要なのだと感じました。







2012/09/05 08:50 | この記事のURL適正配置 校長先生のお話
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